黒部峡谷鉄道は、宇奈月温泉から欅平までの20,11kmで黒部川電源開発に伴って敷設工事が始まった。今回乗車したのは宇奈月温泉から鐘釣駅までで、所要時間片道約1時間の列車の旅である。
行きは天気も良く暖かかったため薄着で乗車したがこれが大失敗。帰りの列車の中で後悔することになった。峡谷の気温差を甘く見ていたためで、夕刻間近となった帰りの列車の中で、寒さに震えながらの乗車となった。
並んでかかる2本の赤いアーチ、トロッコ電車が走る現在の「新山彦橋」とかつての鉄道峡「旧山彦橋」。列車の音がやまびことなって温泉街に響くことから「山彦橋」という名前が付けられたそうだ。
宇奈月ダムは重力式コンクリートダムで高さは97.0m。洪水を防ぎ下流域を災害から守るとともに、豊富な水を水道水や発電に生かす多目的ダムとして作られた黒部川水系で初めての、そして唯一のダムである。
「とちの湯」
は宇奈月湖のほとりにある温泉入浴施設。湖に面した露天風呂からは、木々の緑を映した静かな湖面や遠く近くの山々、そしてトロッコ電車が峡谷を走る姿を眺められる。泉質は宇奈月温泉と同じアルカリ性単純泉。尾沼谷から流れる川がいくつもの小さな滝のように見える。
「猿専用吊り橋」
はダム湖周辺に生息する野生の猿が、餌場を求めてダム湖の対岸を行き来できるように設置された湖上15m全長137mの吊り橋。2005年2月の完成。
「仏石」の由来は仏の姿に似ていることからきている。湯治客が道中の安全を祈願したとの言い伝えがある。
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山彦橋(手前)と新山彦橋(奥) |
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宇奈月駅 |
新山彦橋から見る宇奈月温泉街 |

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宇奈月ダム |
新柳河原発電所
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とちの湯
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湖面橋 |

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猿専用吊り橋 |
仏石 |
黒薙駅(くろなぎえき)を過ぎると間もなく後曳(あとびき)橋がある。
黒部峡谷の中で一番峻険な谷で黒部川の支流黒薙川に架かる橋。高さ60m、長さ64m。谷を見下ろすと、その深さに驚き思わず後ずさりをするということからこの名がついた。
後曳橋から見えてくるのが跡曳水路橋
。こちらの”あと”はなぜか「跡」。黒部川の上流から新柳河原発電所に送水しているコンクリート製の水路橋である。支流の黒薙川に約50mの高さで架けられている。長さ約48m、幅約10mを測り、水路橋としては典型的な形状であり、アーチ橋で支えられている。
笹平駅で目に付くのが慰霊碑。なんのための慰霊碑なのか不明。
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黒部川(奥)とその支流黒薙川(手前)合流点
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後曳橋 |
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黒薙川にかかる水路橋
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笹平構内にある慰霊碑(何のためなのか不明)
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笹平駅から出平駅までの山々からは多くの小さな滝が流れていた |
出平ダム。発電が目的で、1985年(昭和60年)に完成し関西電力株式会社が手掛けた黒部川水系の発電用ダムの中では最も新しい。認可出力は新柳河原発電所で41,200kW、音沢発電所で124,000kWである。このダムはダム湖の堆砂を排出する「排砂ゲート」を備えた日本最初のダムである。
出平駅で目に付くのが冬季歩道。コンクリートの穴は通風孔。コンクリートでてきたシェルター状のもので黒部峡谷鉄道が冬季運休中に発電所の点検のための移動手段(徒歩)として、また生鮮食品や郵便・新聞などの運搬手段として使用される。長い距離でおよそ6時間かかるとのこと。
六つの峰が競いあうように出平ダム湖の対岸にそびえたつ岩山が出六峰(だしろっぽう)。
剣岳北方稜線のひとつ標高1949.3mのサンナビキ山。登山をする人にとっては憧れの山のようだ。その山から下りるのがサンナビキ谷。
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出平ダム |
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出平ダム湖畔を進むトロッコ列車 |

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冬季歩道とその構内 |
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出し六峰 |

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サンナビキ谷 |
出平ダム湖半を行くトロッコ電車
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出平湖畔を進むと黒部川第二発電所手前に「ねずみ返しの岩壁」が見えてくる。
猫又駅下流の対岸から望める、黒々とした岩肌が威圧的な高さ200mの大岩壁。猫に追われたねずみも登れないほど切り立っているのでこの名がついた。
黒部川第二発電所
は小屋平ダムから取水し、最大出力72,000kw、常時出力5,000kwの発電所。建築家、山口文象氏のデザインで、右の赤い鉄橋(目黒橋)は建物の直線的なデザインとは対照的な角を曲線としたデザインにしている。
猫又駅は黒部川第二発電所(通称:猫又発電所)の業務目的で造られた駅で、工事関係者、発電所の所員達の宿舎がある。黒部峡谷鉄道には、宇奈月・柳橋・森石・黒薙・笹平・出平・猫又・鐘釣・小屋平・欅平の10駅があるが、一般客が乗降できる駅は宇奈月・黒薙・鐘釣・欅平の4駅のみで他の駅は猫又駅同様業務用の駅である。
鐘釣駅で有名なのが
「黒部万年雪」。
百貫山に降った雪が雪崩によって谷に堆積し、雪の魂となって次の冬が来るまで解けずに残ってるとのことだったが、この夏の暑さですべて溶けてしまったようだ。
河原には河原から湧き出る「河原露天風呂」がある。泉質は単純温泉。
駅構内には黒部川の氾濫を防ぎ、洪水から下流の住居を守るために「鐘釣三尊像(釈迦如来・大日如来・阿弥陀如来)」が安置されている。
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ねずみ返しの岸壁 |

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黒部川第二発電所 |
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猫又駅 |
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鐘釣駅 |

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河原露天風呂 |
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雪がない万年雪? |
鐘釣三尊像 |